主任と課長は何が違うのか|課長から主任になった40代が感じた役割と評価のズレ

製造業マネジメントの現場から

40代の転職で、課長から主任になった。

順番としては、逆走している。普通は主任から課長へ上がっていくもので、その逆をたどる人は多くない。おかげで、この2つの役職を内側から見比べることになった。

何が違ったのかを書いておきたい。役職の名前ではなく、実際に立っている場所の話として。

決裁権の比較は、正直できない

最初に、書けないことを書いておく。

「課長はいくらまで決裁できて、主任はいくらまで」という比較はできない。会社が変われば金額の基準も承認の仕組みも違うからだ。前職と現職を並べても、役職の差なのか会社の差なのかが分からない。

だから、金額や権限の一覧のような話は出てこない。代わりに書けるのは、日々の感覚としてどう違うかという部分だ。

実際に違ったのは、期待と評価軸のズレだった

いま一番はっきり感じているのは、これだ。

求められることは管理職経験者としての水準で、評価される軸は主任としてのもの。この2つが一致していない。

仕事の渡され方は、「管理職を経験してきた人なら、この程度はできるだろう」という前提で来る。細かい説明がつくわけではなく、任される範囲も広い。感覚としては、かなりの部分を委ねられている。

一方で、人事考課の制度上は主任だ。主任としてあるべき姿が定義されていて、それに沿って評価される。期待の水準と、評価の枠が別々に置かれている状態になる。

これは誰かが悪いという話ではなく、中途で管理職経験者を採用したときに構造的に起きることだと思う。ただ、渡される側からすると、この間に立ち続けることになる。

「指示を仰げる」ことの、表と裏

主任になって楽になった部分は、確かにある。

判断を一人で背負わなくていい。迷ったときに指示を仰げる相手がいる。課長時代の1日を振り返った記事で書いたように、課長のときは自分が決める側だった。決めた責任も自分にあった。その重さから解放された面はある。

ただ、これは表裏一体だった。

仰げるということは、仰がないと進めてはいけないということでもある。

課長のときなら自分の判断で動かせたことが、いまは確認を経ないと進められない。スピードは落ちるし、自分の中で答えが出ていることでも一度止まる。楽になった部分と、もどかしい部分は、同じことの裏と表だった。

現場に近い分、プレーヤーとしての仕事がある

もう一つの違いは、手を動かす仕事の量だ。

主任は現場に近い。だから、プレーヤーとしての業務が一定量ある。管理だけしていればいい立場ではない。

課長のときは、判断と調整が仕事の中心だった。自分が作業に入ることはあっても例外的で、基本は人を動かして成果を出す立場だった。

どちらが良いという話ではない。現場に近いほうが状況は掴みやすいし、自分で動けるぶん確実でもある。ただ、管理業務とプレーヤー業務の両方を抱えるので、時間の使い方は難しくなる。

守備範囲が広いことの難しさ

そして、守備範囲が広い。

役職が下がれば担当範囲は狭くなるものだと思っていた。実際は逆だった。任される領域は広く、どこまでを、どういう形に持っていけばゴールなのかが分かりにくい。

終わりが定義されていない仕事は、どれだけやっても手応えが残らない。この感覚は、転職後のミスマッチについて書いた記事でも書いた期待値のズレと根が同じだと思っている。

どちらが難しいか——種類が違う

課長と主任、どちらが難しいか。答えは「どちらも難しい」になる。ただ、難しさの種類が違う。

課長の難しさは、判断の重さと責任の範囲だった。決めなければ何も進まないし、決めた結果は自分に返ってくる。

主任の難しさは、期待と権限のあいだに立つことと、守備範囲の広さだ。求められる水準は高いのに、動かせる範囲は限られている。

結局のところ、どちらがいいかを決めるのは役職の名前ではなく、やりがいと給与のバランスに納得できるかどうかだと思っている。

ただし、ずっとここにいていいわけではない

最後に、現実的な話を書いておく。

40代で主任になる転職を選んだときの話では、役職が下がることに迷わなかったと書いた。いまもその判断は正しかったと思っている。ただ、それは一時的に受け入れたという意味であって、ずっと主任のままでいいという意味ではない。

会社員である以上、収入を上げるには、管理職としてポジションを上げていくしかない。仕事の経験値を積み、質を上げ、スキルを高めて、もう一度その位置に戻る。それをしなければ、収入は頭打ちになる。

役職にこだわらないことと、キャリアを止めることは違う。肩書きを一度手放して環境を変えたなら、次はそこで評価を積み直す必要がある。40代の転職は、その覚悟とセットだと思っている。

役職の名前より、立っている場所を見る

主任と課長の違いは、権限の一覧では説明できなかった。

違っていたのは、何を期待され、何で評価され、どこまで自分で決められるか。そしてその3つが揃っているかどうか、という部分だった。

これから役職が下がる転職を検討している人がいたら、肩書きそのものより、この3つがどうなるかを聞いておくといいと思う。私は聞かないまま入った。だからいま、こうして書いている。

評価される側ではなく、評価をつける側に立っていたときの話は部下の評価を25人分つけていた側の話|頑張っても必ず反映されるとは限らない理由にまとめています。


主任として1年近く働いてみて、何ができるようになり、何がまだ慣れないのか。やりがいと給与の納得感について、迷っている部分も含めてnoteに書きました。

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「転職して、よかったですか」 そう聞かれると、いまも少し答えに詰まる。 25年勤めた会社を辞めて、別の会社に移った。もうすぐ1年になる。1年あれば、答えは出ていると思っていた。実際には、簡単に出せなかった。 理由は途中で分かった。「転職して…

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