受注が予算比250%に跳ね上がった現場で、私は何をしていたのか

製造業マネジメントの現場から

人が足りない。知識のある人はもっと足りない。そこへ新しい受注が重なり、既存の仕事もある。

こういう状況は、製造業の現場では珍しくない。ただ、当事者になると話は別だ。「どうにかなる」と「どうにもならない」の間で、毎日判断を迫られる。

私がこれを経験したのは、管理職になる前——チームリーダーを任されていた時期のことだ。受注が急増し、予算比で250%の増産対応をしなければならなかった。その半年間のことを書いておこうと思う。

2交代から3交代へ。初めての夜勤帯が始まった

増産対応の最初の関門は、シフトの組み替えだった。

それまで昼夜2交代で回していたラインを、3交代に変える。自分たちの職場では、初めての夜勤帯だった。

「初めて」というのは、仕組みがないということだ。夜間にトラブルが起きたとき、誰がどう動くのか。引き継ぎはどうするか。夜勤メンバーをどう教育するか。何もかも、やりながら作っていくしかなかった。

人数が足りていないから、新しいメンバーを入れた。ただ、そのメンバーに製造の知識や経験があるわけではない。教えながら、同時に生産数も確保しなければならない。そういう状態が続いた。

不良が出た。たくさん出た。

正直に書く。

増産対応の序盤、不良をたくさん出した。経験の浅いメンバーへのフォローが行き届かなかった。教育と生産を同時に回そうとした結果、どちらも中途半端になった時期があった。

「生産数は出ているが、不良率が上がっている」という状態は、現場としていちばん苦しい。数字だけ見れば回っているように見える。でも後工程に問題を送り込んでいる。それがわかっているから、きつかった。

そこで方針を変えた。

不良が出るたびに、原因究明・対策立案・実行・確認のサイクルを回す。ただし、そのスピードを上げる。課題を積み残さない。翌日に持ち越さない。

PDCAそのものは当たり前のことだ。でも、増産対応の現場でそのスピードを落とさないのは、思った以上にきつかった。毎日何かが起きる。対応している間に次の問題が来る。それでも止めなかった。

夜中に電話が鳴ることもあった。設備のトラブル対応、生産上どうしても立ち会いが必要な製品が遅い時間帯にずれ込む。気づけば日付が変わっていた、そういう夜が何度もあった。

よい状態だったとは思っていない。労働のルールから外れていたこともわかっている。ただ、当時はそれを声に出せる空気ではなかった。今だからこそ書けることだ。

半年後、過去最高益を達成した

その増産対応が、会社の過去最高益につながった。社長賞をいただいた。

受賞したとき、正直なところ「やりきった」という感覚より「あの半年間は何だったのだろう」という気持ちの方が強かった。毎日何かを削りながら回し続けた。フォローが届かなかった場面もある。うまくやれなかったことも山ほどある。

それでも、この経験は自分の中に残った。

転職面接で、この話を何度か聞かれた

管理職として転職活動をしていたとき、いくつかの面接でこの話題になった。

「増産対応の具体的な経験を教えてください」「そのとき、どういう動き方をしましたか」という質問だ。

私は一連の流れを順番に話した。状況の説明、直面した課題、取った行動、結果。派手にまとめようとせず、現場でやっていたことをそのまま言葉にした。

面接官の反応は、思ったよりも前向きだった。

製造業の管理職採用では、「修羅場を経験しているかどうか」を見ている面接官は少なくない。きれいな成功談より、「あのとき何をしたか」の方が伝わることがある。不良を出した話も、隠さなかった。その後にどう立て直したかをセットで話すことで、むしろリアルな経験として受け取ってもらえた気がする。

管理職の経験を、言葉にするということ

この記事で伝えたかったのは、一つのことだ。

製造業の現場経験は、転職市場で評価される。ただ、それは「修羅場があった」という事実だけでは伝わらない。何をどう判断して、何を優先して、結果どうなったか——この流れを言葉にして初めて、相手に届く。

日々の現場仕事の中で、それを言語化する習慣はなかなかつかない。転職活動を始めてから慌てて振り返ることになる人が多い。私もそうだった。

職務経歴書を書くとき、面接で話すとき、「どうまとめればいいか」に思った以上に時間がかかった。製造業の管理職がどう実績を書類に落とすか、自分の経験をもとにnoteにまとめている。参考になれば。


製造業の管理職が職務経歴書で実績をどう書くか、私自身の経験をもとにテンプレートとして整理しました。増産対応・品質改善・安全管理など、現場の成果を採用担当者に伝わる言葉に変えるための構成例です。

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