35名の製造部門をまとめるために、私がやめた3つのこと

製造業マネジメントの現場から

35名の組織を任された時、

私は正直なところ、自信がなかった。

係長として少人数のチームを率いてきた経験はあった。

でも、35名という規模は別の話だ。

全員の顔と名前を把握しながら、

生産計画を回しながら、

品質を維持しながら、

部下の育成もしながら、

そのすべてを同時に動かさなければならない。

最初の頃、私は「管理職らしくやろう」としていた。

丁寧に指示し、

公平に接し、

不満の声には「まあまあ」とやり過ごす。

自分なりに一生懸命やっていたつもりだった。

でも、半年ほど経った頃に気づいた。

現場が、少しも変わっていない

そこから私は、

自分のマネジメントのやり方を少しずつ変えていった。

具体的には、

それまで「当たり前」にやっていた3つのことを、

意識的にやめた。


①全員に同じ対応をするのをやめた——「公平」と「平等」は違う

最初にやめたのは、

全員に同じ対応をすることだった。

管理職として

「公平に接しなければならない」という意識は、常にある。

えこひいきはいけない。

特定の人間を優遇してはいけない。

それは正しい。

でも、

「公平」と

「全員に同じ対応をすること」は、

別のことだと気づいた。

35名いれば、

35通りの個性がある。

経験が長いベテランと、

入ったばかりの新人では、

必要なサポートがまるで違う。

自信がある人間と、

慎重すぎる人間では、

背中の押し方が違う。

言葉で伝わる人と、

実際にやって見せた方が伝わる人がいる。

同じ対応をすることは、公平ではなく、思考の省略だった。

個別対応に切り替えてから、

まず私がやったのはメンバーをよく観察することだった。

仕事への向き合い方、

得意なこと、苦手なこと、

どんな時にモチベーションが上がるか、

そういったことを、

日常の業務の中でゆっくりと把握していった。

評価の場面でも同じだ。

同じ「頑張った」という結果でも、

その人の出発点やプロセスを見なければ、

正当な評価はできない。

数字だけを見た評価は、

時として現場の実態からかけ離れる。

個別対応は手間がかかる。

でも、その手間が、

メンバーの「この上司は自分のことを見ている」

という信頼につながる。

そしてその信頼が、組織の底力になると感じた。


②問題が起きてから動くのをやめた——先手管理への切り替え

次にやめたのは、

問題が起きてから動くことだった。

製造現場では、

トラブルが起きると管理職が引っ張り出される。

不良が出た、

設備が止まった、

メンバーがミスをした、

その都度、対処する。

これを繰り返していると、

管理職の仕事は「消火活動」だけになっていく。

消火に追われている間、

次の火種は誰も見ていない。

私が意識するようになったのは、

「何かが起きる前に、その兆候を見つける」ことだった。

設備であれば、

異音や振動の変化、

点検データの傾向、

これらを日常的に把握しておくことで、

突発故障の前に手が打てる。

実際に予防保全の仕組みを整えてからは、

突発故障が大幅に減り、

長期停機による機会損失も減った。

人の面でも同じだ。

メンバーの様子が普段と違う、

ミスが増えている、

口数が減った、

そういった変化を早めに察知して、

声をかける。

問題が表面化してから動くのでは、

すでに手遅れなことがある。

先手管理は、完璧にはできない。

それでも「起きてから考える」から

「起きる前に備える」という意識の転換は、

組織の安定感を大きく変えた。


③愚痴・不満を受け流すのをやめた——「聞く」と「流す」は違う

3つ目にやめたのは、

メンバーの愚痴や不満を受け流すことだった。

これが一番、変えるのに時間がかかった。

正直に言うと、愚痴や不満を聞くのは消耗する。

「あの人と一緒に仕事したくない」

「この作業、意味があるんですか」

「なんで私だけ」

そういった声に、

毎回真剣に向き合っていたら、

管理職はもたない。

だから「まあまあ、気持ちはわかるよ」と受け流すことが、

いつの間にか習慣になっていた。

でも、ある時気づいた。

受け流された不満は、

消えるのではなく、

蓄積する

表面上は収まったように見えて、

現場の空気はじわじわと重くなっていく。

そしてある日、

小さなトラブルをきっかけに、

一気に噴き出す。

そのパターンを何度か経験して、

「流すことは解決ではない」と理解した。

やめた後に始めたのは、

「その不満の背景を聞くこと」だった。

「あの人と一緒に仕事したくない」という言葉の裏には、

具体的な出来事がある。

「この作業、意味があるんですか」には、

納得できていない何かがある。

その背景まで掘り下げて初めて、

対処できることが見えてくる。

全ての不満に応えられるわけではない。

でも、「ちゃんと聞いてもらえた」という感覚は、

メンバーの安心感につながる。

それだけで、現場の空気は変わる。

管理職は「聞いたふり」が上手くなりやすい。

私自身、そうだった。

でも、

「聞く」と「流す」は、相手には必ず伝わっている

そのことを、遅ればせながら学んだ。


「やめること」がマネジメントを変えた

振り返ってみると、

私のマネジメントの転換点は「何かを始めた」ことよりも、

「何かをやめた」ことの方が多かったように思う。

全員に同じ対応をするのをやめて、

個を見るようになった。

起きてから動くのをやめて、

先手を打つようになった。

不満を受け流すのをやめて、

背景まで聞くようになった。

どれも、やめる前は「これが普通だ」と思っていた。

だからこそ、手放すのに時間がかかった。

自分がやり続けていたことが、実は現場の信頼を損なっていた

その気づきは、手放してみないと得られない。

製造業の管理職として、

「何をするか」だけでなく「何をやめるか」を考えることが、

組織を動かす上で意外と大切なことだと、

私は今でも思っている。


まとめ:35名組織で私がやめた3つのこと

  • 全員に同じ対応をするのをやめた——公平とは、個を見ることだと気づいた
  • 問題が起きてから動くのをやめた——先手管理が、組織の安定につながる
  • 愚痴・不満を受け流すのをやめた——「聞く」と「流す」は、相手には伝わっている

管理職になりたての頃の自分に、

今の自分が話しかけるとしたら、

「もっと早く手放せ」と言うと思う。


最後に

実際に一番時間を使ったのは、
「転職するかどうか」を決めるまでの思考整理でした。

そのときに考えていたこと・迷っていたこと・
最終的にどう判断したのかを、noteにまとめています。

40代管理職が転職で「決断できなかった時間」を抜け出した思考整理ノート|Yuton
※このnoteは、40代・管理職として転職を考えながら、 年収と年齢を理由に決断できなかった人に向けて書いています。 決められなかった数年を、どう抜け出したのか。 年収と年齢で止まった思考を、動かすための記録。 40代・管理職。 情報は揃っ...

※ ノウハウではなく、当時の思考・判断基準・迷いをそのまま書いています。


40代管理職として、
私が一番苦しかったのは
「動けない自分」を責めることでした。

そのとき手放してよかった思考を、
7つにまとめています。

派手な成功談ではありませんが、
もし今、同じ場所で立ち止まっているなら
何かヒントになるかもしれません。

40代管理職が転職で「捨ててよかった思考」7選― 動けなかった私が、一歩踏み出せた理由 ―|Yuton
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