前職に、大きな不満があったわけではなかった。
職場の人間関係も、積み上げてきた仕事の手応えも、それなりにあった。「今すぐ辞めたい」と思う状況ではなかった。それでも、心のどこかに拭えない違和感があった。その違和感が何なのか、しばらく自分でもうまく言葉にできなかった。
違和感の正体
日々の業務をこなしながら、ある感覚が少しずつ大きくなっていた。事業に伸びしろを感じられなくなっていた。改善や工夫は続けていたが、その努力が将来につながっている実感が持ちにくくなっていた。業績は年によって大きく変動し、管理職として現場を守る立場にいるからこそ、先行きへの不安が積み重なっていった。
上位のポストには本社からの出向者が多く、自分がその先に進む絵が描けなかった。努力や成果だけでは埋められない壁があることに、少しずつ気づいていた。業界全体を見渡しても、原材料費や人件費が上がる一方で価格転嫁は難しく、利益率が下がっていく現実があった。優秀な人材が集まりにくい構造の中で、新しい刺激が入ってこない閉塞感もあった。
ただ、これらは「転職しよう」という決断には、まだつながっていなかった。
会議室で感じた、静かな確信
転職を強く意識したのは、ある重要な会議の場だった。社長や取締役が出席する席で、議題を眺めながら、上席の発言を聞いていた。会社の将来についての話が続いていた。
そのとき、静かにこう思った。「この場所では、自分が変えられることに限界がある」と。不満ではなかった。ただ、この先ここにいても、自分が本当にやりたいことには近づけないという感覚だった。感情的な反発ではなく、冷静な確認に近かった。それが転職を「考える段階」から「動く段階」に変えた瞬間だったと思う。
「安定」を捨てることの怖さ
転職を決意してからも、すぐに動けたわけではない。25年勤めた会社だった。人間関係も仕事の進め方も、すべてが馴染んでいた。そこを離れることへの怖さは、正直あった。
ただ、「怖いから動かない」を続けた先に何があるかを考えたとき、その先の絵がより怖かった。10年後、この場所に立ち続けていたとして、自分は納得しているだろうか。その問いに、自信を持って「はい」と答えられなかった。
転職活動を始めたのは、40代に入ってからだった。遅いと思う人もいるかもしれない。ただ、動き始めたこと自体は後悔していない。決断のタイミングは人それぞれだが、「このままでいいのか」という問いに向き合う時期は、必ず来る。
転職を決意した後に感じたこと
転職を「考える」から「動く」に切り替えてからも、しばらくは迷いが続いた。エージェントに登録した後も、本当にこれでいいのかという問いは消えなかった。25年間同じ会社にいると、「転職する自分」というイメージが、なかなか現実感を持たない。
それでも動き続けられたのは、「このまま何もしない自分」を想像したときの方が怖かったからだ。行動して後悔するより、行動しないで後悔する方が自分には合わないと感じていた。転職活動を始めて、初めてエージェントと話した日、「自分の経験は市場で評価される可能性がある」と言われた。その言葉が、踏み出した判断を正しかったと感じさせてくれた最初の瞬間だった。
転職を決断できなかった時間には、理由があります。動けない自分を責めるより先に、迷いの正体を整理することが大事でした。その思考の過程をnoteにまとめています。
▶︎ 40代管理職が転職で「決断できなかった時間」を抜け出した思考整理ノート(¥980)
40代管理職が転職で「決断できなかった時間」を抜け出した思考整理ノート|Yuton※このnoteは、40代・管理職として転職を考えながら、 年収と年齢を理由に決断できなかった人に向けて書いています。 決められなかった数年を、どう抜け出したのか。 年収と年齢で止まった思考を、動かすための記録。 40代・管理職。 情報は揃っ…



コメント