転職を考え始めたとき、ふと不安になったことがある。
「いくらかかるんだろう」という、お金の不安だ。スーツを新調しなければならないか。交通費はどうなるか。書籍や講座にも投資が必要か。在職中に活動するとして、どれだけの時間が取られるのか。
調べてみても、「人によって違います」という答えばかりで、具体的な数字がなかなか出てこなかった。
だから今回は、自分の11ヶ月間の転職活動でかかったコストを、できるだけ正直に、全部書いておく。これから動こうとしている人の、一つの参考になれば十分だ。
お金のコスト全記録
結論から言うと、総額で5万円以内に収まった。
内訳はこうだ。
交通費:ほぼゼロ円
面接に呼んでもらえた企業は、ほとんどのケースで交通費を支給してくれた。大手企業はもちろん、中堅規模の会社でも「実費精算します」と当然のように言われた。転職活動においては、交通費は企業が負担するケースが多いということを、活動を始めてから初めて知った。
スーツ・靴・衣類:ゼロ円
管理職として長年働いていたこともあり、スーツはすでに数着あった。面接のたびに新調する必要はなく、手持ちのもので乗り切った。「転職活動のためにスーツを買う必要があるか」と悩んでいる人は、まずクローゼットを確認することをおすすめする。
書籍・有料AIサービス:月3,000円 × 12ヶ月 = 約36,000円
これが最大の出費だった。ビジネス書を数冊と、AIツールへの課金(職務経歴書の見直しや面接準備の思考整理に活用した)がほとんどを占める。ただ、これは転職活動のためだけではなく、純粋な教養のためでもあったので、転職専用のコストと言い切れない部分もある。
カフェ・その他(場所代・写真代など):8,000円程度
自宅以外で書類を書いたり、企業のリサーチをしたりする時間が必要だった。図書館も使ったが、集中したい日はカフェを選ぶことも多かった。あとは証明写真代が数回分。すべてひっくるめて1万円を下回った。
【お金のまとめ】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 交通費 | ほぼ0円 |
| スーツ・衣類 | 0円 |
| 書籍・AIサービス | 約36,000円 |
| カフェ・雑費 | 約8,000円 |
| 合計 | 約44,000円 |
正直、活動前に想像していたより、ずっと少なかった。
時間のコスト全記録
お金よりもずっと重かったのが、時間だ。
活動期間:11ヶ月
転職サイトに登録してエージェントと初回面談をしたところから、内定を受諾するまで、約11ヶ月かかった。長いと感じる人もいるだろう。自分でも、途中で「いつ終わるんだろう」と思った瞬間が何度かあった。
週あたりの活動時間:平均3〜4時間
在職中の活動だったので、まとまった時間は取れなかった。平日の夜に1時間ほど、土日のどちらかに2〜3時間、というペースが続いた。求人のチェック、エージェントとのやり取り、書類の作成、企業リサーチ、面接の準備。それらを細切れに積み重ねていった。
計算するとこうなる。
11ヶ月 × 約4.3週 × 平均3.5時間 = 約165時間
165時間。改めて数字にしてみると、それなりの量だ。フルタイムで換算すれば、1ヶ月弱の稼働に相当する。
応募・選考の数字
| フェーズ | 数 |
|---|---|
| 応募社数 | 50社 |
| 1次面接通過 | 14〜15社 |
| 最終面接到達 | 6社 |
| 内定 | 2社 |
書類選考の通過率は約3割。ただしこの数字には、純粋に「自分の市場価値を確かめたい」という気持ちで試しに出した応募も含まれている。条件を絞らず、書類がどこまで通るかを測る目的で動いた時期があった。
リクルートエージェントで聞いた話では、40代の転職希望者は書類通過率が10%を超えれば優秀と見なされるらしい。担当者からも「経歴と実績の内容はかなり良い」と言ってもらえていた。3割という数字は、決して悲観するものではなかった。
一番削られたのは、お金でも時間でもなかった
活動6ヶ月目、最終面接で2社連続して不採用になった。
1社目は、手応えがあると思っていた。面接官との会話が噛み合っていたし、職務経歴書に書いた実績にも明確に関心を持ってもらえていた。だから結果を聞いたとき、素直に「なぜか」が分からなかった。
その3週間後、2社目の最終面接も落ちた。
このときが、11ヶ月間で一番しんどかった。お金でも、時間でもなく、「自分の何が足りなかったのか」という問いが頭を離れなかった期間が続いた。
それでも活動を続け、最終的には2社から内定をもらうことができた。結果として選んだのは1社だが、選択肢が複数あったことで、条件交渉の場に立てたことも大きかった。
活動を楽しめた部分があったのも正直なところだ。しんどいことも確かにあったが、自分のキャリアを言語化し、市場に問い続ける経験は、消耗というより蓄積に近かった。
まとめ|転職はコストか、投資か
お金は約44,000円。時間は約165時間。そしてそれ以上に、見えないエネルギーを使った11ヶ月だった。
ただ振り返ってみると、転職活動の時間は「消費」ではなく「蓄積」だったと感じている。自分のキャリアを言語化し、他者に説明し、市場から評価を受ける経験は、転職の成否に関わらず、今の自分の土台になっている。
転職を「リスク」と考えるか「投資」と考えるかは、結局のところ本人次第だ。ただ少なくとも、コストだけを理由に踏み出せないでいる人には言いたい。思っているより、お金はかからない。時間は確かにかかる。でもその時間は、無駄にはならない。
▼ 転職活動の全体の流れ・進め方についてはこちら

▼ 活動中に使ったエージェントの実体験はこちら

▼ もっと深い話(活動中の心理の動き・判断の記録)はnoteで書いています



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